前半はネタバレなしのレビュー。後半は攻略に行き詰るであろう箇所のヒントとネタバレ有りの考察。「あの二人実は同一人物なのでは…」と考えています
2024年の「State of Play」終了後、突如無料で提供された本作。数時間でクリア可能ながら中身の濃い仕上がりに驚く。ただゲーム初心者には難しい部分もあり誰にでもおススメはしにくい
ザ・ショートメッセージの感想
約20年ぶりにコナミで作られたショートホラーゲーム(PlayStation®5 限定作品)
ホラーゲーを作るノウハウが若干失われてしまったため、まずはショート作って取り戻そうぜって流れらしい
そうは言っても歴代サイレントヒルシリーズを手掛けた人々が一部携わっています⇒岡本基(プロデューサー)・伊藤暢達(デザイン)・山岡晃(音楽)
【あらすじ】
PlayStation Store
友だちのマヤに呼び出されたのは、自殺の名所と噂される廃墟のマンション。誘われるように廃墟を進むと、怪奇現象が次々と起こりはじめ変貌していく空間。徘徊する不気味な怪物
「見つけるまで、ここから出られない」
マヤからのメッセージが意味するものとは…
ストーリーは若者も親しみやすい「いじめ」がテーマ
♦スマホからは着信音がなり響く

クリアは早い人で2時間、じっくりプレイで3-4時間程度のボリュームとなっています
♦楽しい要素&そうでもない部分
| Good | Bad |
|---|---|
| ①シンプルなUI&操作性 | ❶視認性が悪く眼精疲労 |
| ②美しいイラスト&クリーチャー | ❷PS5限定なのがもったいない |
惹きこまれるストーリー。コントローラーから伝わる絶妙な振動や不安を煽るノイズ
クリーチャーデザインは桜の花メイン(鋭利な枝で攻撃してくる)です。次の新作「f」でも花がモチーフに取り上げられていたので今作と繋がりあると嬉しいな
終盤の視点が低くなっている演出(子供視点)はとくにすばらしかった!
♦ところどころ実写

●ただし『裏世界』のつくりは微妙
主人公はJkで戦えないから逃げゲーになるのはわかりますが…ストーリー後半は怖さよりも苛立ちを感じることが多く残念でした
【従来】霧で先がみえない~視界が悪い⇒ボヤッと何か見えてドキドキ
【本作】画面暗い&自動走で画面ブレ視界が悪い⇒敵にやられストレス
ストレス急上昇シーンが気になる方はブログ後半の「攻略」に張り付けてあるYouTube動画をご覧ください
筆者は歴代サイレントヒルを1-4までプレイ済みです。このゲームは「4」っぽい
♦既視感の正体は4の「The Room」だろう

2014年配信されていた『P.T.』に似ているとの意見もありますが、そちらは未プレイなので感想は控えます
本作はイジメや児童虐待~自●と重いテーマを扱っているので鬱傾向の人は注意が必要です
【攻略】鍵の開け方
わかりにくいかなと感じたところだけ
2章~ロッカーキー
周囲を見渡すと数字が見つかる。入り口から奥にみえる数字を順に入力するだけ
「机の上の文字の色と数字の色をあわせる」
はじめ4桁なので現在時刻かと思い…時計みてました。違った!
3章~裏世界
『鍵が掛かった扉』:213号室の前をとおり抜けた先にある。鍵は全部で5個必要
鍵=思い出の品。置いてある部屋に近づくとスマホ画面に思い出の写真がチラチラ映る
【鍵の場所リスト】
YouTube画面右上の数字クリックで別の鍵のありかも視聴可能。全4ヶ所
- スタート地点を進んでいく。キャビネの上&スーツケースの上にある。鍵2つゲット
- 207号室・付箋が沢山貼られた部屋・イーゼルのある机の上
- 210号室・袋人形沢山の部屋を抜けた先ロッカーの前
- 203号室・シーツをかぶった人形のある部屋の角にある机
鍵を全て取り終えるとクリーチャーは消え安全に移動できるようになる
【考察】ネタバレ注意

今回のサイレントヒルは若い方へ向けたメッセージが多く見受けられました
ゲームのはじめと終わりに自分宛の手紙が朗読される
ゲーム冒頭・大人になった未来の私へ:弱者ゆえの醜い生き方は美しくない。強くありたい。わかってくれる人がひとりでもいればそれで…
エンディング・18歳の頃の私へ:美しくなくても構わない!わかってくれる人がひとりでもいるなら
年月の経過とともに価値観は変わっていくので今の考えが全てではないよ、ようは視野を狭めて一人で悩むんじゃねえぞってお話
若い人は経験が少ないからあぁなってしまいやすいのよね。歳をとっても前者の感覚を持っている人はいます。それが悪いわけでもない

分カッテクレル人ガ一人モ居ナイ人ハ…ツヨクイキヨウ
いっぽうマヤの考えは全く共感できませんでした
幸せで美しく記憶されたまま、旅立ってしまってもいいんじゃないだろうか?
マヤの日記3
コレ、最近観たおフランス映画にも出てきたんですよ。突然死ぬ人物がいるのですが共感できなさすぎて
…ポカーン状態( ゚д゚)エッシンダ⁉イキナリ‼
興味あれば是非。艶めかしい妻&妙なダンスをする旦那が味わい深い『髪結いの亭主』一部で名作と囁かれています
共感できないなりに面白いのでおススメ
日付と時間から読み解く
本作は2022/9/12(月)の出来事です
序盤は17:46をさまよっている。初回の屋上落下後時を遡り17:45の世界に。ゲームの進行で17:46になり最後の屋上では「–:–」の表記
♦スマホでは日付と時間が確認できる

これは不思議な世界からの脱出を表しているのか、主人公の時が止まったことの暗示なのか。またはその世界から逃れたくないのか
どうなんでしょう
筆者はアニタが自●する度マヤが時間を巻き戻し真実をわからせようとしていると感じました
ここでいう真実とは「マヤ」のこともあるけど「アニタ」自身のことでもある
主人公は自ら歪んだフィルターをかけているせいで真実にたどり着くのに時間がかかった>>ジェイムス・サンダーランドほどではない(サイレントヒル2の主人公)
「サイレントヒル」に呼ばれるものは闇(罪の意識や己を正当化する欲)を抱えている。アニタも何かありそうだ
人物深掘り
【マヤとアニタ】
クリアしてはじめて実写のマヤが話しかけている相手はほぼアメリだとわかった
⇒主人公とマヤは仲がいいと思わせて実は違う
⇒校内のいじめも対象は主人公ではなくマヤが標的だった
プレイヤーはアニタを通して物語世界を知ることになるけれど彼女はどこまで信用できるのか。主要人物中・実写で出てこないのは彼女だけ。それは何故なのだろう
【個別紹介】
マヤ:マヤは日系移民の4世。恋人とお揃いのアクセを身に着けている。母とは口ケンカが絶えない。祖母は魔女とあだ名されるほどの能力者。街が火事で大騒ぎの時に殺された可能性
⇒この家族や恋人は今後他のサイレントヒル作品に出てきそうな気がする
自●した原因:恋人との別れ(外部が原因)で不安定なときに主人公が意地悪したのがきっかけととれるが、祖母のこともあるので他殺の可能性も?
実は妊娠していたようなのでそのことがきっけでもありそう
⇒アトリエのごみ箱に妊娠検査薬「陽性」が捨てられている
ロッカーに隠された手紙には「希望は失われて 彼とのつながりも切れちゃった」とあるので流産したか周囲の圧でおろされたのだと思う
♦アニタのSNS表垢

アニタ:主人公アニタの描く絵は不気味。自己肯定感が低く承認欲求から自撮りを載せている、裏垢?の名前は「Little Bear」で子供の頃からクマのぬいぐるみ好きっぽい。母親も子供の頃虐待にあっていたらしくトラウマを抱える。母の名前はクリスタ・プラネルト
終盤クローゼットに閉じ込められたあと母親燃えてるような描写なかった?火事…といえばゲーム内でマヤの祖母が大火事の日に入院先の病院で(原因不明の病のせい?)投身自●していたのが印象的だった。両者の時代は違うけど…この街にはなにかある
アメリ:兄にセクハラされているような描写のある女の子。フクロウのぬいぐるみが部屋にある。ドイツの医大に入ろうと猛勉強するも親の会社が倒産。最後は幼なじみと家をでていくSNSの画面で終わっている
アメリ&アニタともに似たような境遇の人物がこのマンションから身投げしている記事が読める。名前は載っていないので別人の可能性はある…。ただし死亡記事に名前が掲載されていたのはマヤのみ
彼女たちが亡くなった後マヤが時間を巻き戻してあげていたのだろうか
気になること
【サイレントヒル要素】
「魔女」といえば1や3に出てきたアレッサを思い出す
マヤは祖母の特殊な能力を受け継いでいるようですが…亡くなってしまいました。マヤがイジメられていた原因は「特別な能力」と関係があるのかないのか
「自分の運命は分からないなんて…」と呟く悲しそうな瞳が忘れられません

【サイレントヒル現象】
世界各地においては不思議な現象が起きている。霧が出ていない日でも、突然熱にでも浮かされたように普通に暮らしていたはずの人が「霧が見える」と口にして、その後意識を失うといったものだ。この現象は、アメリカのサイレントヒルという町で似たような症状を訴えた人々が大量に現れたことから、現在では「サイレントヒル現象」と呼ばれている
今後ゲームの舞台はアメリカ・サイレントヒルから世界中に広がっていくのか
【謎の模様】
アニタが蘇る度、壁の黒丸●くんが血を吐き出す量が増えてて気になります
終盤の●はよく見ると丸の周囲になにか刻んである。自●の数を刻んでいるのか…


白い格子状のタイル床にみえるのは「初代パッケージ」のオマージュだろうか
【二人は同一人物?】
最後の絵はアニタとアメリが対で描かれていた。ゲーム内で別人のように描かれているけれど実は同一人物ってオチではないのか
マヤがアメリに語り掛けていた内容を何故アニタが思い出せるのか(マヤの特殊能力のせい?)
アニタは霧がはれ爽やかなラストを迎えるがスマホは「–:–」時がとまる&失われる演出が入る⇒17:47と進むのなら違和感なかった
名前や見た目がなんとなく似ていることもあやしんだ理由です
普通こういうキャラデザはかぶらないようにするのに(メガネや髪型のこと)あえて似せてるように思えてならない。じつは分裂症じゃないだろうか
アニタだけ実写を見せないのも実は同じ人物だからじゃないかと考えています。実在しているなら最後視界がはれてアニタも実写になった方がしっくりくる
その後の消息がわかるのはアメリだけ。エンドロール中にSNSのつぶやき画面が表示されることからわかる
アメリちゃんはSNS画面が一回も出てこないのでやっていないのかと思った…ゲーム内資料にでてくるネグレクトされた少女の例はアメリとマヤっぽい子しか載っていない
ある少女は、自分を虐げた醜悪な母親を「継母」だと思い込み、慈愛と才能にあふれた「実の母親」が別にいるという、自分を悲劇のヒロインに置くような物語を作り出していた。
幼いときに虐待を受けてできた傷跡を聖痕のように位置付けし、傷跡から咲いていく桜の花が見えると信じて疑わない少女もいた。
ゲーム内資料
アメリの日記に出てきた優しい継母は自分を置いて出て行ってしまったけれど…物語を作り出していたというのが引っ掛かりポイントでした
時系列
舞台は地名的にたぶんドイツ
- 1930年頃経済政策・国外から起業家と工場誘致
千里眼を持つ日本人女性が企業家を指導(極東の魔女) - 1947年工業団地で大規模火災・大半が焼失。魔女は病院で身投げ
- 2012年7/15アニタ家の長男クローゼットで死亡
- 2020年11/9コロナの影響で中国との提携撤退
- 2021年8/24アメリもう少しで大学生に…
- 9/27Anita「自殺の名所の」記事を読んで…磔にされた人物を描く
- 2022年3/5マヤ屋上で最高傑作描き終える
- 3/12『C.B.』ことマヤ・アコウ・ヒンデンブルク自●
- 9/12ゲーム本編
- 9/29アメリ幼なじみと引っ越し
経済政策が上手くいかず不幸な家庭が増えている話は理解できるけれど、出生率が他の地域に比べ倍近く低いのは特別な理由がありそう
アメリちゃん街を出て行って正解!
幼なじみって誰なんでしょう。アニタなのかはゲーム内で言及されていません
⇒もう一人の自分=アニタという解釈もできますね
エンディング『My Heroine』を繰り返し聞き&見ていると
マヤに嫉妬していたアメリの別人格(アニタ)が今回の出来事で統合⇒アメリ「幼なじみ(アニタ)」と一緒に引っ越しハッピーハッピー!というイメージが脳内に流れてくる
ファミ通インタビュー記事を読んで
当初エンディングは別物(ダークな内容)を用意していたということがわかり安堵
岡本「本来はもっとダークな内容だったんです。ただそれだと、ただ気分が悪くなるだけになってしまいます」「ハッピーエンドは似合わないと思い作成した物語だったのですが…中略~ひとつしかないエンディングの終わりがビターすぎると、あまりにも救いがないので、最後は前向きな気持ちになれるような内容にしました」
ファミ通ドットコム.2024.2.9インタビュー記事
救いがないサイレントヒル」も好物です。新作もリメイクも期待しています
今後の作品と関連は…
本作が今後他のシリーズ作品と結びつくことは「すべて出し切った」のでない、とインタビューで言い切っています。練りこまれた設定だったので勿体ないと思いつつ
つぎの新作『サイレントヒル f』は1960年代の日本を舞台にした作品。楽しみに待っています
♦プレイ済みの方はこちらをどうぞ
\\感想などコメント大歓迎。お気軽にどうぞ//
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コメント 【承認制】反映にお時間いただきます
もう視認性が悪すぎて何が何だか
三周目はもうストレスでしかなかったな。意地でクリアしたけど、同じとこグルグルしまくり笑
新しい試みが色々あったのは良かったね
リアルな社会問題をゲームに落とし込むのは、結構リスキーだと思うけど、敢えてそこを持ってきたという意味ではまだまだ今後期待できる気がしました。
匿名さん、クリアおめでとうございます
私もストレスから投げ出しそうになりました…色々ときついですよね😂
まずはフルリメイク、そして新作
既存ファンを満足させつつ~新規プレイヤー獲得も期待できる作品でした。楽しみですね
コメントありがとうございます🦀
幼い時の母親の虐待から自身を守るために別人格(アニタ)を生み出したのかな。
携帯を使ってやりとりしていたのは、全て脳内で行っていた。記憶の共有をしていないから、メモを隠したことにアメリは気づかなかった。
一通りプレイして、ざっくり思いました。
匿名さん、コメントありがとうございます🙏
アニタ=アメリ説だと「記憶の共有を行っていないからこそ起きた悲劇」を想像してしまいますね…
マヤちゃん壁画に2人描いているのでソコに気づいてくれてもよかったのに(涙)
こんにちわ。
アニタ=アメリは私にはない発想でおもしろかったです。
しかし、私は2人は別人だと思います。
家族構成や生い立ちが全く違いますし、容姿が似ているのはアニタのような性格の子が、容姿が全く違う正反対の子と友達になるのは不自然、且つマヤが話していた相手を混同させるためかと思います(マヤが相手の容姿について言及した際にアメリと似ていれば自分のことと錯覚しやすい)。
アニタだけ実写がないのは、アニタが劇中で虐めをするシーンがあることからの配慮ではないでしょうか。
さらにマヤという第三者がアニタとアメリの絵を描いてことからも、2人は実在する別人であると判断できると思います。
他に気になった点として、アメリの大学入学が親の破産でなくなったような描写がありましたが、アニタはあれをアメリのことではないような言い方をしていました。
私の想像では、それらは平行世界の別のアニタやアメリのことだったのではないかなと。つまり飛び降り、時間が巻き戻るたびに別世界が作られており、あのマンションはそれらの情報が蓄積されていた特異点、みたいな。
色んな捉え方が出来るのも面白い作品の特徴ですよね
素敵なコメントありがとうございます^^