『KONA』シリーズはカナダ・ケベック州の開発会社「Parabole」が手がけるミステリーアドベンチャーゲーム。主人公は元軍人の探偵カール、依頼人に会いに来たところ地元のイザコザに巻き込まれたのが「1」。その後の続きが本作「2」となっている。物語の舞台に地元ケベックを使い観光アピールの一面もあり(後述)
前半ネタバレなしのゲーム解説。後半ネタバレありでストーリーを語っています
♦「2」の冒頭、前作の解説が入るため本作から遊んでも問題ないだろう。「1」は日本語がなく遊ぶハードルは高くなっている。より詳しく知りたい方向けに解説記事を用意したので興味があれば以下をクリック
本作が向いているのは…「サバイバルホラー」や「犬」好きの方!
今作はホラー味が増した。不気味なクリーチャーと戦うようなゲームではないがバイオの洋館や研究所が舞台の「ちょっとした謎解き」&「探索」が好きなプレイヤーは楽しめるでしょう
♦探索を妨害するのは自然界に存在する動物が主

ホラーが苦手な方へ。物語中盤から移動手段に使う「犬ぞり」が最高だぞ、序盤だけ我慢しておけと伝えたい。離れた場所からワンワン駆け寄ってくる犬たちの愛くるしい姿が吹雪で凍てつくハートに温もりを届けてくれる
このゲームが向いている人
①いかにもなホラーは苦手だけど少しスリル(ドキドキ)を味わいたい
②グラリッチで戦闘手軽にこなせるゲームがいい
③10時間程度でクリアできるゲームを探している
④カナダ・ケベック州の文化を土台に作りこまれた作品を遊びたい
>>お値段結構する(プレステで3,960円)のでセールの時に買うといいですよ
上記②…グラリッチ=グラフィックがリッチなこと。戦闘はあまりないゲームで、攻撃をくらわないように設定もできる(その場合アチーブメント=トロフィーや実績コンプはできません)
♦バイオ8のドキドキDLCを思い出す

④ケベック文化については以下の画像をみてほしい。ゲーム内の生き残った登場人物はフランス語を話しており、ナレーターはデフォルトで英語、主人公のカールは作中両言語を使いこなしていました。これはカナダがヨーロッパの植民地支配に巻き込まれていたなごりで現在の公用語はフランス語です
♦ケベック州の歴史に興味がある方は『世界史の窓』へどうぞ⇒リンク先ケベック『世界史の窓』
物語序盤、洋館にはアメリカ独立戦争時に侵略されるケベックの絵が飾られ、本棚には『男とその罪』なんかが置いてあります。フランス語wiki(⇒wikiリンク先)をみるにこの本の主人公はハミルトンのモデルになっている。歴史や文化を調べながら遊ぶのが好きな人にはたまらない作りです。物語はそこに先住民問題が加わり暗い影を落としこむ
他にもSF好きにささりそうな本のタイトルやカナダの有名なお酒(と思う)なんかが置いてある。つい手に取ったり眺めたりして時間泥棒でした
「1」が好きな人は「2」で肩透かしをくらう…かも
筆者は「1」のミステリーに重きをおいた探索型アドベンチャーゲームが好きなので本作に対し少し厳しめの評価をしている。独特の風味を失ってしまい悲しいのだけれど、こういう作品が好きな人だっているだろう。自分に合いそうなら遊んでみて欲しい
♦前作の好きな部分がことごとく失われ吹き出る不満
【微妙ポイント】 | 【理由】 |
---|---|
❶煙草が消えた | SAN値(正気度)がなくなったせい |
❷地図を見ながら移動できない | 探索してる感がなくなった |
❸ナレーター変更 | 癒し系お爺⇒理知的な中年ナレーター(男)に変更。温もりが足りない |
❹バイオでよくない? | 雰囲気だけ寄せてみましたは要らない |
❺ストーリー改変 | 微妙に設定変えました? |
微妙ポイント❶「タバコが消えた」
直前までヤニ中だったんですよカールさん。アイテムの煙草を使うことで正気度を保っていたはずなんだそれなのに!!煙草は?ステータスアイコンはHPと体温、ときどき持久力が表示されるのみになってしまった。前作「1」で精神を鍛え上げすぎのだろうか。1のラストが2のスタートラインなのになぜ
微妙ポイント❷「地図を見ながら移動できない」
前作好きだった仕様を変えてくる制作陣。屋外の探索が減り屋内がメインになったからだろうか?はたまた中盤以降の移動は犬ぞりメインになるからだろうか。地図片手に移動するアイデア良かったよ
重量制限もなくなりました。愛車の「ピックアップトラック」荷台でアイテム乗せ換えながらあーだこーだ考え、見通し悪い雪の中運転するのもKONAらしさを感じて好きだった。ストーリー後半は小回りの利くスノーモービルに乗り換えてしまったけれど。不便さも今ではいい思い出
微妙ポイント❸「ナレーターの変更」
ぬくもりある話し口で評判の良かったナレーター。それが制作側の意向で変更に!今回の方は「イメージピッタリ」だとか。悪くはないのですが主人公探偵は一切話さないゲームでお爺ちゃんの声がどれだけ励みになったか…吹雪の中、心に温もりを与えてくれた。今作その役割は犬に移りました
微妙ポイント❹「もうバイオで良くない?」
KONAの良いところに対する「認識」が制作陣と乖離。この手のゲームは遊びつくしている。洋館や研究室の探索はお腹いっぱいです。ストレスたまったからショットガンでクリーチャーぶっ飛ばそうかな!?ってノリにもなれない。吹っ飛ばせるクリーチャー…いません!
♦一番多い敵は狼。透けているのには理由があります

微妙ポイント❺「ストーリー改変」
ネタバレになってしまうので多くは語れず、気になる方はこのあとの「ネタバレ枠」へお越しください。もともとKONAシリーズは短編の3-4部作展開を予定していた。Steamの規約が「2時間プレイまで返金可」の仕様変更をしたため変わらざるを得なかったようだが…
壮大な展開と引き換えに、筆者が答えを求め追いかけたロマンチックさは失われてしまった。不満もありますが攻略や解説記事を書くくらいにはハマっているKONAシリーズ!「1」が名作すぎたんだ…続編がでるなら発売日に買って遊びたい
以後KONA1を遊んだ前提でストーリーを語っていきます。未プレイの場合は初めに紹介した解説記事に目を通してからがいいでしょう
【ネタバレ有】KONAのストーリー解説
なぜケベック州で奇怪な出来事が起こるようになったのか?
・KONA1では「ハミルトンが狩猟中に起こした悲劇」が元のように語られるも
・KONA2では「隕石」に惹かれたハミルトンのせいだとわかる
ハミルトンは偶然発見した「隕石」=青いミスタナイトを「未来のエネルギー」と考え研究にのめこむ。そのせいで重篤な細胞性障害を患ってしまうのですが…
≪ミスタナイトの危険性≫
ミスタナイトは置かれた環境の気温に関係なく冷気を発生する未知の物質で、同時に放射性の高い霧のようなものも生成。それに触れると一種の精神病を誘発するためKONA1から主人公の様子がおかしかった理由が判明した。精神病といっても時空を歪ませて過去の人物と対話できるような現象も見られる(2の研究所にてトマスとの対話等)
主人公カールの仮説「濃霧は過去への橋渡しが可能なのか?」
またミスタナイトは動物や植物の遺伝子変異を生じさせる物質でもある。それが地下研究所の爆発によってマナスタン全体にバラまかれた結果がKONAの惨事につながったのだ。道中透明化して襲ってくる動物たちや前作登場したウェンディゴは被害者でもあったのです
隕石の中核は化学組成が異なり赤みを帯びている。これが物語後半手に入る赤いミスタナイトで青いミスタナイトの特性とは反対、等量の組み合わせで中和し合う性質が事件解決の糸口になった
倉庫に保管された矢尻(加工された赤いミスタナイト)から古代の人類=この地の部族がミスタナイトを知っていたこと、それをイエズス会士たちが盗み出したため作り方のノウハウがわからなくなった。少数民族を弾圧した西洋人たちのせいで現地の文化継承も難しくなっていることが示唆される
♦精神病の誘発で現れる化け物は人それぞれ異なる

≪黒い背景≫
前作はカナダ・シークレットサービスの存在がチラついていた(直接でてはこない。ハミルトンが何かを訴えようとしていたようだが…後述)。今回明るみになったハミルトン〜ソ連の事業提携と関係するのだろうか?
♦未来のエネルギーを発見したハミルトン鉱山株式会社の歩み
1944年第4四半期~M.I.S.T.プログラムを開始
ゲーム内資料の報告書より
1952年第3四半期~ソビエト連邦と事業提携
1955年第2四半期~医療目的によるミスタナイト初の正式輸出
1955年にミスタナイトを輸出している…他国に被害が拡大していると想像できる。KONA2は1970年10月の出来事なので社会問題になっていてもおかしくない。なぜ表(おもて)に情報がでてこないのか
♦ゲームの元ネタはソ連の954事件じゃないかと筆者は思っています
【コスモス954事件】
1978年ソ連の人工衛星「コスモス954」がカナダ領空に落下、放射性物質を拡散させた事件
ソ連の人工衛星→大昔飛来した隕石と変わってはいますが似ている
登場人物紹介
≪前作から≫
ピエール=マール・コルボ(PM):1967年に肺炎で死亡した採鉱場従業員ジャック・コルボの息子。ロール・コルボの夫と言われている。自分の仲間を大切にする忠実な男、だが狩りの事故で切れたとのこと。前作ウェンディゴとして登場。ハミルトンへの憎悪が根底にあるクリー族
ロール・クーパー:ハミルトンの流れ弾があたってしまった不運なクリ―族の女性。「2」では結婚しているような紹介ぶりで驚く
≪初登場≫
トマス・マトゥシュ:機械技術者。先住民。過激な扇動家といわれている。とうに亡くなっていたはずだが研究所でカールとモニター越しに会話している
フランソワーズ・ドレール女史:隠れ家で中心となって人命救助にあたるハミルトン鉱業の人事担当役員。先住民数名を積極採用し怪しまれていた。乗馬、フェンシング、拳銃のライセンスをもつエリート層。実はカナダ連邦警察の捜査官で税務不正の調査中だった。情報がつかめそうなときに爆発が起こったらしい
ジュール・デメルス:ハミルトン鉱山株式会社の秘密研究プロジェクト主任。自身は肉体派ではないため屈強なカールに頼みごとが多い
≪ハミルトン一家の情報≫
ウィリアム・ハミルトンの妻はレイチェル・エスター・ハミルトンで元シカゴの大女優。妻との間には一人息子ヘンリーがいるが家をでて犯罪小説家になっている。ハミルトン自身はやり手の実業家。密かに想いを寄せ合う女性「シンシア」がいるがそのことで妻は自殺。全財産を息子に残す遺言書を作成していた
♦愛人との愛の巣にて。ハミルトンがロマンティック?には笑うしかない…

解明されない疑問2つ。続編に望むこと
♦手帳にはカールの疑問が書き込まれています。探偵さん他にも気になることあるでしょ?

≪前作から消えない疑問≫
疑問①ハミルトンがOttawa(オタワはカナダの首都)のシークレットサービス宛てに極秘の告発状を送ろうとしていた話はどこにいったのだろう?犯人の医者(共産主義っぽい)はそれを持って逃げる途中でしたよね。今作ハミルトンはソ連と取引をしていることが発覚しましたし釈然としない。「3」で医者が出てきて説明して欲しい
♦「1」の手帳から抜粋した告発文
In the box, I found a state affair, no loss! Hamilton wanted to expose some shady activity by enemies of democracy. I still need to figure out why the hell this message ended up in the doctor’s hands…
KONA1手帳よりDeepl翻訳
箱の中に入っていたのは、損得抜きの国事行為だった!ハミルトンは、民主主義の敵による陰湿な活動を暴こうとしたのだ。なぜこのメッセージがドクターの手に渡ったのか、解明する必要がある…..
上記の話は中途半端なので「1」の解説記事には載せていません。今後解明されるのか
疑問②ウェンディゴを追いつめた先住民の女狩人についても「2」で言及はありませんでした。唯一それらしい情報は研究所内でみかけたマップだけ
♦手配中の女性が目撃されたマークは前回のボルトが撃ち込まれていた所の一部に見える

≪続編にのぞむこと≫
KONAの続編「3」がでるとしてもカール探偵が主人公でいられるかは疑わしい。科学者ジュールに『放射能が臓器を侵し始めているはずだ。生き延びられるとは思わない』とゲーム内で言われていましたよね。散々危険な場所に行かせておいて…ひどいよ!
もちろん我らの探偵は『バイオハザード』ゴリスさんのように遺伝子変異をしていて肉体の劣化が抑えられ生き残っている可能性もあるだろう…希望はある
続編お待ちしております
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