本作は『塊魂』で一世を風靡(ふうび)したクリエイター高橋慶太氏の最新作。「T」字に固定された腕をもつティーンエイジャーの日常を8話構成でなぞる「箱庭型アドベンチャーゲーム」だ。ほんわかした絵柄ですが難易度の高いミニゲームも多く、アチーブメント(実績&トロフィー)コンプを目指す方は注意が必要です
『to a T』の不満を語ってから魅力を説く
筆者が不満に感じたところを以下の表にまとめました。どの現行ハードでも2,000円程度で購入できるので興味があったら遊んでみて欲しい
♦微妙なポイント2つ
| 【微妙ポイント】 | 【理由】 |
|---|---|
| ❶屋外探索中の固定カメラが癖強すぎ | 移動しにくく目が疲れ「極度」のストレス |
| ❷バグが多い | とくにストーリー後半重要なポイントで進行不能バグがある(100%ではない) |
❶は探索中急にカメラが真横だったり、ナナメ上だったりと切りかわる。タイミングがつかめなくて疲労。特に序盤はマップが全開放されているわけではなく、カメラをあえて切りかえないで移動制限を設け「わざとその先に行かせないために」やっている
♦横断歩道を通る時のカメラアングルは「絶対コレ」

探索中「この先いけるかな~‥‥?」人物が遠くどんどん小さくなっていく。「あ、いけないのか」と理解。道路は横断歩道のある場所しか通行できず、近づくとカメラアングルが「グン」と強制で横向きにかわる。交通ルールはわかるが自由度のなさを感じた。これについて開発者の声を抜粋する
高橋:右スティックはカメラの操作に使う、っていう常識への個人的な抵抗です(笑)
上田文人氏と高橋慶太氏の対談。2025年7月17日電ファミにて
上田:常時、ビハインドビューにすることもできたよね?
高橋:もちろん余裕でできるんですけど、カメラについては模索せず、最初からサイドビューと決めていたんです。プレイヤーキャラクターの背中を延々と見続けるようなカメラにはしたくない、と。キャラクターの表情とTポーズを見せるにはサイドビューしかないと。だけど町の構成を2Dにするのもおもしろくないし……。3Dの街の中で、どううまく馴染ませるかということに結構時間をかけたんですが、まだまだですね。カメラってやっぱりとても重要で、その見せ方で印象も変わってくる。だから『to a T』のことを知らない人が「なんか新しいかも!」と思ってもらってほしかったのはあります
「新しいかも!」は無理があるだろう。個人的には古いゲームに回帰したのかと思える不便さで制作側の意図がまるで伝わってこなかった部分でした。これは筆者が古い人間なせいかもしれません、若者は新鮮にかんじるのかも。ビハインドビューじゃなくていいからもっとうまいこと出来なかったのかと良いゲームだけに悔やまれます
下のマップで雲がすこし見える「右上」部分がこの章では侵入不可扱いとなっています。探索時は先に行けそうで行けない見づらさがストレスに繋がりました。MAP画面に切りかえて状態を調べないといけないですからね。そのせいで本作の評価は★4.0となっています
♦マップ全体のサイズはこの5倍ほど

2つ目の微妙ポイント❷「重大なシーンの進行不能バグ」は筆者未経験です。軽微なものは屋外探索中よく遭遇していました。だいたいは大ジャンプ後の着地先で「はまって抜け出せず」プロロ(プロファイルデータロード)して最新セーブポイントからやり直しと面倒くさくて…
進行不能バグはストーリー後半に起こっている。最優先で修正しているようなので「そんなこともあったよ」と書き残すにとどめます。可愛いバグもあるので悪いことばかりではありません
♦電車が消えるバグ。ワンコが可愛すぎる~~!
すごく可愛いバグに遭遇💕
— かに🎮🦀ゲームログ (@kani3_sun) June 1, 2025
ワンコと電車に乗っています#toaT#XboxGamePass pic.twitter.com/cLn4orn56A
以下では本作の魅力を画像多めでご紹介
ありふれた日常を描く「序盤」
メインストーリーだけなら難しい操作は必要なく、5-6時間でクリア出来てしまう。朝起きて、顔を洗い、ご飯を食べ歯を磨き、着替えて学校へ行く。そんな日々の繰り返し。起床⇒着替え⇒朝食⇒登校も可能ですが…顔がアップになると目ヤニと食べかすが歯に挟まっているのが確認でき非常に汚い。再現細かすぎ笑
♦身の回りの「あれやこれ」を手伝ってくれるのは愛犬!トイレも一緒に入るよ

主人公の性別は不明。学ランもセーラー服も、ミニスカ~ふんどしまで着用することができます。何かに配慮しているのか?性別はたいした問題ではないということかな。愛犬にも名前が付けられるので犬を飼っているプレイヤーはより感情移入できる仕組みです
筆者は子供の時に飼っていた秋田犬を思いだし「サクラ」と名付けました。頭上に「巻き糞」がのっていても楽しそうにしている姿がかわゆい。主人公の髪型や愛犬のオシャレアイテム(帽子)はマップ探索でSHOPに並ぶ数が増えます、お楽しみに!
♦序盤スカスカのクローゼット。ショップで買い物をすると増えていく

主人公は生まれもった「特異な姿勢?」のせいでイジメを受けています。夢でうなされ「学校に行きたくない…」と母親に訴えるも軽くあしらわれ、愛犬に導かれイヤイヤ登校する日々(この辺は過去のトラウマで辛くなってしまう人もいるかもしれない。気をつけて欲しい)
そんな主人公に転機が訪れる。きっかけは…脱糞!
♦全ては愛犬の粗相が原因です

よそ様の敷地に入ってウンチをしてしまう愛犬。開く玄関扉…どうする主人公!ここで謎の身体能力に目覚め、主人公を取りまく日常は大きく変わっていきます(笑)この先は自身の目で見届けて欲しい
笑いあり涙あり…?のホットウォーミングストーリー
UIやミニゲームを「ちょっぴり」紹介
ゲーム画面は単純明快。コインを入手したとき一瞬トータル数が表示され、アクションを起こす必要のある場所で「だけ」ボタン表示が出る。メニュー画面も以下の画像のとおり。各鳥さんが画面(フィルター機能充実)や操作設定を担当
♦シンプルなUIに好感

真ん中の鳥(ソフトクリームの上にいる子)が「やめる=ゲーム終了」担当。本作はオートセーブのみのため一度ここから「終了」をしてみたのだが結構前まで戻されてしまった。たまたまタイミングがあわなかっただけかもしれない。運が悪く悲しい
本作はXBOXのクイックレジューム機能に対応。箱ユーザーは基本この機能のみ使用でいいだろう(複数のゲームを好きなタイミングでやめておける機能。電源オフ時も有効)
記事冒頭「難易度が高い」と書いたミニゲームもすこし紹介
例えば…下記動画では「目押し」が必要になります。早食いの合間に飲むジュースは2つしかまともなドリンクがなくそれ以外の選択をしようものなら「マズさのあまりゲロを吐き続け」タイムロス!他の挑戦者に負けてしまう
♦「サンドイッチ早食い」ミニゲーム。不正解を連続で選ぶ「蟹きんぐ」選手
ポキさんの好きそうなミニゲームもありますよ🤭
— かに🎮🦀ゲームログ (@kani3_sun) May 29, 2025
目押し出来ないと地獄が待っている…かも笑
みんなTになろうぜ〜 pic.twitter.com/rc8ZoJgCfu
他にもポップコーン収集、トウモロコシの早食い、アイスキャッチ、リズムゲー、電車と50m?競争など豊富に用意されています。アチーブメントコンプにはこれらの競争にすべて勝つ必要があります。難しく感じた場合は「攻略情報」も書いているので利用して欲しい(攻略記事のリンク)
遊び心にあふれ…時に教訓めいた展開へ
さっきから画像を見ていると…「まき糞」、「爆発ヘア」に「蟹頭」しかないんかい!と感じた方もいるかもしれない。安心して欲しい!中盤登場する「ナウい甲殻類」がイケてる髪型に整えてくれます。全36種類!(ただし探索で「髪型」を探す必要はある)
♦カニ理容師によるヘアセット

演劇のような演出があるかと思えばショップの店員は「会話のできる動物たち」、特技で一定時間浮遊する主人公…と独特のファンタジー世界を堪能できる。そのため現実世界の問題を急に振られるとビックリしてしまう
可愛らしい見た目をしていますが肌の問題(色・人種)にさらりと触れてくる
♦動物と共存する癒しのファンタジー世界。PC勢はクリックで拡大
このへん筆者からすると??なこともあって…本作は「色白が選べる肌色」の選択肢が少なく、その中から一番白めを選んだのが一連の画像に載っている主人公のスキンカラーです。黒系スキンはそれなりに充実していますが色白系は「ほぼ」なく納得がいかない
♦スキンカラーは全8色。理科の実験では一時的に肌スキン変更可能、これは白すぎた!
自己投影したキャラを作りたい場合、色白さんだと諦めてもらうしかない…じじつ筆者ももう少し白いスキンが欲しかった。黄色人種の意見がこうだと白人の需要はもっとあるのでは。肌の色で差別よくないよね的な話をゲームに盛り込むのに白系のスキンはないがしろにされている気がして何故なんだ~~~、という愚痴でした
肌色の話だと『スチールライジング』を思い出す。詳細はレビュー記事を読んでほしい。デフォルトのドール選択が黒いスキンドールになっていてモヤついた件。パッケージや宣伝に使っているのは白スキンドールに違和感。自信をもって黒スキンドールを載せればいいのにと謎の怒りがわいてきた
本作が一貫して訴えていること…それは「あなたはそのままで完璧」だよ、ということ。ストーリー進行によって微妙に変わるアニメーション。秀逸なオープニングの歌詞までがわかりやすく語り掛けてくる。この考え日本では金子みすゞ「みんな違って みんないい」があるのでお馴染みですね
誰かの「完璧」があなたの(わたしの)「完ぺき」ではないと頭ではわかっていても、難しい。そんなことをつらつら思いながら遊んでいました
♦英語と日本語が織り交ぜられる歌詞

さいごはクリエイター語り
「高橋慶太」氏のイースターエッグを探して
ゲーム内には高橋慶太さんの「過去作モチーフ」が見受けられます。ここでは筆者が発見したものを数個ご紹介。だがその前に…悲しみを共有しておきたい
発売日初日に遊んだのはお目当てのクリエイターがつくったゲームだから。悲しいことに筆者はプレステ3時代~公私ともに忙しく(詳しくはプロフィール記事を読んでほしい)彼の作品を遊ぶのは『to a T』が2作目。今後遊んでみたい作品たちは…
・『のびのびBOY(PS3)』 ⇒配信停止
・『Wattam(PS4)』 ⇒パッケージあり
・『Crankin’s Time Travel Adventure(Playdate)』 ⇒特殊なハードが必要
1個配信停止しとるやんけーーーーーいや~~~え…?どういうこと
高橋「ゲームが売れすぎるのはどうかと思い、『のびのびBOY』はPS3のみで、ダウンロード販売にした。」
Game Developers Conference 2009現地レポート 『GAME Watch』
オイオイなにやってんだよ~(涙)これだからダウンロード限定販売とか、アプリゲーに関連作品を作られてストーリー進められるの嫌なんだよ。2度と遊んでもらえないゲームをつくったスタッフも可哀想だ…(個人の感想です)
すごく面白そうなゲームだったんです。他のユーザーが遊んだ分だけ新たなステージが展開されるとか…なんで当時遊ばなかったんだ自分!ショックすぎる。この悲しみを教訓に生きてやる…
で、本題。すぐに見つけた過去のモチーフは『塊魂』の王子アンテナ!画像はこのページのどこかにあります。『Wattam』はメイヤー帽子。『Crankin’s Time Travel Adventure』からはロボ本人が登場しています。『のびのびBOY』についてはわかりませんでした
♦店員にロボ!ワンコがかぶるメイヤー帽。PC勢はクリックで拡大
毎度のことながら文句も言っていますが、なんだかんだ楽しかったおススメの作品
エンディングは本気を出して全集中しないとクリア出来なかった。あなたも3分30秒ギャーギャー言いながら「完璧」なクリアをめざして欲しい。健闘を祈る!
同年発売で同価格帯、同★4.0評価のゲームは『都市伝説解体センター』でした。参考に記事を置いておきます。『都市伝説解体センター』終盤をのぞき終始眠くて大変だった(レビュー記事リンク)
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♦可愛いアドベンチャーゲームが好きな人には以下の作品もおススメ








コメント 【承認制】反映にお時間いただきます
自分もカメラ以外は大方満足してます。あとバグが結構ありますね…実績解除とかに拘らなければ問題ないかな。
自分が一番辛かったのは犬になった時のカメラが辛くて…段ボール迷路から抜け出せなくなるんじゃ無いかと思いましたw
記事も面白く読ませて頂きましたありがとうございます。
読んでいただいてありがとうございます~👐
ワンコは視点が低くなって狭い場所での操作はしにくかったですね
そういえば…「塊魂」のときからカメラワークには不満がありました(笑)