読んで面白かった本の感想を綴っていく場です。ゲームの内容を深掘りしたり気になる作家の小説を読むなどしています。2026年7月の記録
今月はゲーム「サロス」&「アサシンクリード ブラックフラッグ」関連の本ばかり
♦目次一覧
| ❶使者 ロバート・W・チェンバース 翻訳 夏来健次 | ❷海の地政学 覇権をめぐる400年史 中公新書 竹田いさみ |
| ❸海賊の世界史 古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで 中公新書 桃井治郎 >>今月イチオシ | ❹帆船軍艦 (輪切り図鑑クロスセクション 2) あすなろ書房 リチャード・プラット (著) スティーブン・ビースティー (イラスト) 宮坂 宏美 (翻訳) |
❶『使者 ロバート・W・チェンバース』
ゲーム『SAROS』の元ネタが気になりチェンバース作品に挑戦。氏の本はほぼ絶版状態、中古も入手困難です。ひとまず荒俣宏さんが編集した『怪奇文学大山脈』 (1) (西洋近代名作選 19世紀再興篇)内にある短編を読んでみた
♦『怪奇文学大山脈』は博識な荒俣宏さんの丁寧な解説が各作品に付いています。時代背景や当時日本にどういう形で伝わってきたか、関連挿絵や人物図と仕事が丁寧!全445頁
夫婦の愛が救いとなるストーリー。翻訳は令和の時代も読みやすいです。主人公の男性が愛嬌ある性格で面白いやつなのよ。自分を置いて逃げた飼い犬を序盤~終盤まで「駄犬」と呼び
嫁に向かって「あきらめよう。あの駄犬のことだ、蹴られても死にやしないさーーー砕けて飛び散るほどの脳味噌が頭の中に入っちゃいないだろうしね」
呪いの象徴としてでてくる「デスメッセンジャーモス(死神蛾)」は『羊たちの沈黙』にでてきた「メンガタスズメ」か。物語は「黒魔術師の呪い」が深くかかわっていて…(気になったら読んでほしい。以下略)
本作品は『選択の神秘』に収められた『パープル・エンペラー』などと関連するフランス、ブルターニュ地方を舞台にした連作スリラー小説です。描写が冗長に感じるシーンも多いが読後感のよい物語だった
筆者が読みたいサロスの元ネタ『黄衣の王』(1895年)はチャンバースの代表作(クトゥルフ神話に組み込まれた傑作)。紙の本は売っていないので電子書籍を購入しました。来月読むぞー
ロバート・W・チェンバース:1865-1933ブルックリン生まれのアメリカ作家。20世紀初頭アメリカでもっともポピュラーな小説家と称された。時流感覚にすぐれ「大衆に売れる小説」の書き方を心得ていた作家であった。若いころにパリで美術教育を受けている(1886-93)。帰国後ニューヨークに住み『ライフ』『ヴォーグ』に挿絵を描いていたが「書く才能」を発見し有名雑誌に小説を書きまくることで財を成し『黄衣の王』はラヴクラフトの称賛をかちえた。
『怪奇文学大山脈』 (1) (西洋近代名作選 19世紀再興篇)より
英語が堪能なら原文を読めばいいのだけれどきちんとした日本語訳の本~となると今は難しいのよね。学生時代から引っ越しのたび処分してきた外国文学の本たち…買いなおしたくても高くなってて泣ける
❷『海の地政学 覇権をめぐる400年史(中公新書)』
海洋国家としてどう生きるか、の問いかけをおこなう本書は図解入りで読みやすい。後半は海洋ルール=「法律」の話がメインとなり「なるほど…(今は興味ないな)」でスキル「高速ページめくり」を発動し読了
時代は帆船から蒸気船へ!エネルギーは「石炭」。ラッキーなことにイギリスは豊富な石炭が埋蔵されていたのでした
ウェールズ産の炭(カーディフ炭)は燃焼力が高く黒煙も少ない最高品質の炭「ブラックダイヤモンド」と呼ばれ、海外の補給基地にも本国からわざわざ運搬していた。日露戦争は日本軍がこの炭を使ったため勝てたんじゃないか「節」が面白い
敵のバルチック艦隊はイギリス政府が炭の販売を許可せず(仮想敵国のため)品質の悪い炭を利用したせいで視界不良だったとか。ペリーによる日本の開国要求は「捕鯨船」寄港のためで他の海域で鯨をとりつくしたためやってきたと「知らなかった~へえ~へえ~」
アメリカの石油産業発展時代~イギリスは国土に石油がない不運(北海の海底油田を発見し生産するまでアメリカに100年遅れた)。世界では石油をめぐる「グレート・ゲーム」が展開~近現代の世界情勢にも触れる
情報を得るほど「コイツら(帝国主義だった列強国)が今ある紛争の元凶では…」と思わずにいられない。日本もWW2で勝っていたら…
♦北海「海底油田」リグ(石油掘削施設)が舞台の摩訶不思議ゲーム、あります

❸『海賊の世界史 古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで (中公新書)』
古代の海賊から現代の海賊まで…好きな時代を目次から読むのもあり。ただし東アジアの海賊については触れられていません。海賊から世界の流れをつかむ面白い試みでした(世界も西洋史が中心)
海賊の認識が古代ギリシアのヘロドトスと古代ローマのキケロで180度異なるのも笑えるし、フェニキア人の都市「カルタゴ」がローマと戦い(1-2ポエニ戦争)敗れても復活する姿に「Delenda est Carthago=デレンダ・エスト・カルタゴ(カルタゴは滅びなければならぬ)」つって第三次~を仕掛けるの最高だなと(これは海賊関係ない)
アレクサンドロス大王に「なんで海荒らすねん」と言われた海賊は「陛下が世界を荒らすのと同じです。私は小舟でするので海賊とよばれ、陛下は大艦隊でなさるので皇帝とよばれるだけです」のやり取りはいつの時代も変わらない安心感とやるせなさを覚える
ゲーム『アンチャーテッド』シリーズでおなじみのフランシス・ドレーク卿も登場。エリザベス女王と海賊の関係はもっと深掘りしたい…そっちは8月読んだ本の記事で紹介できると思います
❹帆船軍艦 (輪切り図鑑クロスセクション 2)
世界最強と讃えられたイギリス海軍「帆船軍艦」の輪切り図鑑。絵を眺めるだけでも楽しい本でした
もっとも衝撃をうけたのは船員のトイレ事情!天候次第で死に直結する(高波にさらわれる)危険な場所に設置されていて、仕切りはなく野郎同士オープンな環境。かたや船長クラスは専用個室あり
基本トイレは「ぼっとん」なので海におちた排泄物を食べに魚が集まってくる⇒その魚を船員が釣る⇒魚を食べた人々はトイレに行き…(笑)と循環がうまれているのだが、細かく描きこまれた絵を観察しないと発見できません
懐かしい『ウォーリーを探せ』仕様。一ページ目に「船員に紛れ込んだお尋ね犯」の手配書が載せられているので読み終わるまで探したのですが…みつからず。ちょっと悔しい
血が流れたり部位切断のシーンもありますので苦手じゃない人向け
♦海賊と帆船に魅せられたきっかけはこのゲーム。今月読んだ「海賊の黄金時代」関係は「ケンウェイ船長日記」で触れているのでこの記事では省いています

海賊関係&マヤ文明の本はまだ積んでいる。来月も読むぞー
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