先月に続きアサクリブラックフラッグ関連の本が大半。少しずつご紹介します。更新中
小説は「夏」…ということでホラーに手をだす。ほかにも月1冊古典を読んでいこうとおもうなど。来月は「十二国記」の新作が発売されるので過去作も読み返したいけど時間がなあ
♦目次一覧
| ❶近畿地方のある場所について KADOKAWA 背筋 | ❷ロビンソン・クルーソー 光文社古典新訳文庫 ダニエル・デフォー 唐戸信嘉(翻訳) |
| ❸世界史を作った海賊 ちくま新書 竹田いさみ | ❹マヤ文明–密林に栄えた石器文化 岩波新書 青山和夫 |
| ❺物語 メキシコの歴史 太陽の国の英傑たち 中公新書 大垣 貴志郎 | |
【読書紹介】2026年8月
❶『近畿地方のある場所について(KADOKAWA)』
映画化され漫画にもなった有名ホラー小説。話題になった本だし読んでみるかな、のノリで手に取るも後悔。これはもっとはやく読むべきだった。映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を観たときのような衝撃!
匿名掲示板に書き込まれた怖い話を読んでいる感覚に近く、ネットロア的手法が使われています
ネットロア:インターネットと民間伝承(フォークロア)をあわせた言葉。現代の都市伝説や怪談としてネットで広まった物語や噂を指す
コトリバコ、八尺様、くねくね、きさらぎ駅などのように本作も都市伝説に加わりそう。ゲームで例えると『流行り神(はやりがみ)シリーズ』のような体験といえばいいか…開発の「日本一」はいいぞ~。今年の夏も『ほの暮しの庭』という素晴らしいホラータイトルをだしてくれました。ありがとう、ありがとう
♦本は文庫もでています。筆者が読んだのは「単行本」のほうです
文庫は視点が異なり新たな読書体験が得られるとか…粋な計らいしやがって!機会があればまたそのうち。読みやすい文章なので読書慣れしていない人でもサクッと読めるでしょう
ひとまず背筋(せすじ)さんの他作品も味わいたい。ハマった
❷『ロビンソン・クルーソー(光文社古典新訳文庫)』
知らない人はいないであろう超名作!ですが読んだことはなく断片的な中身を知るのみでした。イギリスの小説家ダニエル・デフォーの作品で初版は1719年。日本は江戸時代中期といったところ
無人島に漂流するまでの前日譚が長く、ヨークで不自由なく育ったお坊ちゃんであること。性格は擦れたところがなく他者を敬うスタイルで年長者に気に入れらる属性をもつ。そのため商売がとんとん拍子にうまくいく様子が語られるのだが…
現状に満足できず冒険にでたがる性分が災いし28年ものあいだ無人島で過ごすことになるのだった。能力が高く手先はその辺の人間よりも器用。頑健な肉体を天から与えられた超強運の持ち主ロビンソン
ストーリーは『Dr.STONE』に似ていますがあれは科学の力で危機をのりこえる!が主でした。いっぽう本作は「神」の存在に目覚めた主人公が孤独を癒しつつ生活の知恵を絞るのが主。調子にのっては後悔し内省を繰り返す姿は一興です。本当そうだよね…と妙に共感するところも多くページをめくる手が離せない
神の御心次第では、この上なく悲惨な境遇にある者も、たちまちそれ以上の悲惨な境遇へと落とされる。~私は自らの恩知らずな態度を責め、孤独な生活に対する愚痴や不満の数々を責めた。~われわれは全く異なる環境へと連れ出されるまで、自分の境遇がどれほど幸福だったかに気づかない。失って初めて、自分が享受していたものの価値を知ることになるのだ。
本文274-275頁より
終盤は食人習慣のある「野蛮人」フライデーにキリスト教を教え「文明人」に仕立てあげもする。フライデー君は明眸皓歯な美青年。受けた恩は決して忘れず身体能力&知力も高い…一家に一人欲しい有能っぷりを発揮
筆者はロビンソンに女っ気がなくフライデー君の容姿や内面を褒める描写があるのでじつは…とあやしんでいたが多分気のせいだろう
「ガール・フライデー」「パーソン・フライデー」の元ネタ…ロビンソン・クルーソーに登場するフライデー(Man Friday)は忠実な従者だったので「右腕となる頼もしい部下・助手」を意味する言葉の元ネタになっています。もとは無人島で出会ったときの曜日が金曜だったのでロビンソンが下僕につけた名前。じつは日付計算を間違えており出会いは木曜だったオチあり
現代の日本と比べ当時の価値基準に思いをはせたり…
・日常会話で「黒人を連れ去り奴隷売買し儲けよう」だとか
・無人島で猫が繁殖しすぎて手に負えなくなり殺す話
・犬は「相棒」扱いされ天寿を全う
もともとロビンソン~を読み始めたのはアサクリにでてくる初代バハマ総督のウッズ・ロジャーズがきっかけ。総督の著書『世界巡航記』に登場するセルカークがロビンソン・クルーソーのモデルです。彼が無人島にいるところをウッズ・ロジャーズが助けたそうな。ゆくゆくは世界巡行~も読みたいけれど入手難易度が高いのよね
ロビンソン~はシリーズ三部作のうち「一部」を翻訳した作品…現状三部まで読めるのは講談社『世界文学全集』のみ(三部は小説ではなく訓話)。二部は一度脱出した無人島を再訪する展開で岩波文庫の野上&平井訳か河出書房の『世界文学全集』小山訳あり
ってことで二部はそのうち読もう。古い本は「訳」や「フォント」との相性次第なのですが
今回読んだ「光文社古典新訳文庫」はフォントが大きく読みやすい文章で構成されています。古典作品の入門書としておすすめ。ここの文庫はKindle Unlimitedに対応しているものが多いので(実質ゼロ円で読める)電子書籍派はお得ですね
❸『世界史をつくった海賊(ちくま新書)』
筆者お気に入りの竹田いさみ先生。読みやすい文章&実体験を交えた話が面白い『海の地政学 覇権をめぐる400年史(中公新書)』から本作の存在を知り手に取った。飲み会で周囲を飽きさせないタイプの上司
❹『マヤ文明(岩波新書)』
コロンブス侵略以前~アメリカ大陸の記述が不十分な日本の現状を憂いて書かれた書物。古典期のマヤ遺跡(低地)を中心に書かれています。奥さまのビルマさんとはホンジュラスで運命的な出会いをし結婚。そのへん情熱的で面白い。エッセイだしたら売れそうな方(個人的に読みたい)
「マヤは妻と長女が生まれた国の愛の文明」
「人間の一生ではとうてい観察できない数千年という時間枠の中でいつ、どこで、なぜ、どのように、文明が衰退したのか検証できるのが考古学の強み、それが現代の問題解決に光明を投げかける」
アサクリでおなじみ「ホエザル」の鳴き声がうるさく、早朝決まった時間に起こされる話なんかもでてきます。どれだけうるさいんだ…(笑)
以下気になった箇所を箇条書き
・「スペイン人は自己正当化するために生贄の儀式数を正当化」のくだりだとか「20世紀半ばまでマヤ考古学は上流階級欧米マヤ男性学者だけの特権&趣味だった」「神秘的でユニークな文明というイメージ時代遅れのマヤ文明観(映画『インディージョーンズ』のクリスタル髑髏とか)」西洋人のろくでもない話
・トウモロコシ、ジャガイモ、トマト、カボチャ、サツマイモ、トウガラシ、インゲンマメ、カカオ、バニラ、タバコ、ゴムなど多くが南米原産。瘦せた土地でも高い収穫量で別地域で飢餓の救世主となった話とか。ポインセチアやコスモス、マリーゴールド、ダリアもメソアメリカ原産
・マヤは外国人が付けた他称。標準語は存在せず、植民地だった地域は英語やスペイン語が通じる。文化は共通性をもつ。巨大な統一国家がなく多様な王国が共存していたので文明が崩壊することはなく16世紀にスペイン人が侵略したあとも現在まで生き続ける
・旧大陸の四大文明だけみていると文明には大河(半乾燥地帯で大規模灌漑治水事業)が必要に思えるがマヤは異なり安定した食料があった。世界四大文明は古い考えで時代遅れ。西洋中心の文明史観を越え世界六大文明の提唱
六大文明…メソアメリカ文明(マヤやオルメカ文明)やアンデス地域の文明が加えられる。世界八大文明を提唱している人もいてそっちは日本が入っています
メソアメリカ…メキシコと中央アメリカを含む考古学上の古代文明圏のこと
・鉄器は文明の初期段階で使用せず複雑な文字、暦、天文学を発達させ巨大な神殿ピラミッドが林立。ゼロの概念を独自にうみだす。古典期マヤの衰退は神聖王を頂点とする国家的な政治組織の衰退で諸都市の人口が激減(原因は諸説ある)
個人的に気になったネタはメキシコの独立。スペイン移住者の子孫によるスペイン本国からの独立(先住民族によるものではない)ですが本書ではあまり触れられず終わるのでこの件は次の本で触れる。スペイン人と先住民の混血した現代のメキシコ人は副王領時代のことをどう思っているのか気になります
副王領…スペイン王国が16世紀以降、海外領土の統治のために創設した同国の構成主体 。この広大な領域の統治は副王に任せられ、植民地ではなく王国の州または県に準ずる主体として本土と同じ権利を与えられた
Wikipedia
❺『物語 メキシコの歴史 太陽の国の英傑たち(中公新書)』
メキシコの古代~現代までを幅広くカバーした本。メキシコ革命以後~の内容は今のところ興味がもてないのでパパッとめくり気になるところだけ読了。「図解」で説明した方がわかりやすい箇所もあるがこの値段では難しいよなあと思うなど
以下気になった箇所を箇条書き
・いろいろな文明
メソアメリカ文明の源流「オメルカ文明」はベラクルス周辺のメキシコ湾岸地域。紀元前一二〇〇~全四〇〇年ころまで栄え「マヤ文明」はユカタン半島中心でスペイン征服まで二千年以上衰退を繰り返していた。高原地域には紀元前後にはじまる新大陸最大の都市を築いた「テオティワカン文明」が。同地には十五世紀に「アステカ帝国」が栄えた
・羽毛の生えた蛇神ケツァルコアトル
マヤ文明では「ククルカン」といわれる創造神。メキシコの国旗は鷺鷲にくわえられた蛇が描かれ鷲は湖の浮き島に生えたサボテンにとまっている。この場所を都として定めよ、と太陽と戦いの神に言われたアステカ建国の預言シーンを描いたもの
・面白そうな本
先住民はカトリックに改宗させられたが先祖の宗教と融合した独特の信仰生活をおくっていた。そのマヤ人がキチェー語で神話を残したものをのちに修道士がローマ字で筆写した『ポポル・ヴフ』。トウモロコシを肉として新しい人間が誕生した内容、それを題材にした小説をM.A.アストゥリアスが書きノーベル文学賞受賞
手に入りやすそうなのは岩波文庫の『グアテマラ伝説集』かな。ラテンアメリカ文学はなじみがなくて未知の領域で気になります
マヤの天と棒を使った数字「・」「・・」「-」に既視感あるなと思ったら『Golden Idolシリーズ』のゲームに出てきた古代レムリアの数字じゃないか。知識がつながっていく…
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